Google AI Overviews(AIによる概要)は、もはや実験段階の機能ではありません。Semrushが2025年を通して実施した大規模調査からは、表示される検索の種類、業界ごとの差、そしてクリックの行方が、当初の想定とかなり違っていたことが見えてきます。
本記事では、その調査結果を日系企業のマーケティング担当者の方が社内で説明できる粒度に整理し、2026年に何を優先すべきかまでをまとめます。
調査の規模と方法
Semrushは、AI Overviewsの広がりを測るために複数のデータセットを組み合わせています。
- 1,000万件超のキーワード:AI Overviewsがどの程度の検索で表示されるかの把握
- 1万件のキーワード:検索数・難易度・CPCといった指標の評価
- 20万件のキーワード:2025年1月から10月までのゼロクリック推移の追跡
- 1.1万件のドメイン:業界別の影響度と表示状況の分析
数字を読むときは、これが主に英語圏の検索を対象とした推計である点を前提にしてください。ベトナム市場にそのまま当てはまるわけではありませんが、Googleの方針転換の方向は共通しています。
AI Overviewsはどのくらいの検索に表示されるのか
2025年の1年間で、表示率は大きく動きました。
| 時期 | AI Overviewsの表示率 |
|---|---|
| 2025年初 | 6.49% |
| 2025年7月 | 24.61% |
| 2025年11月 | 15.69% |
急拡大したあとに絞り込まれ、およそ16%前後で落ち着いたという流れです。ここから読み取るべきは「増え続ける」ではなく、Googleが出す場所を選別しているという点です。
「調べる質問」から「買う前の質問」へ
最も実務に効く変化がここです。当初、AI Overviewsはほぼ情報収集型の検索に限られていました。
- 情報収集型(Informational)の割合:2025年1月 91.3% → 10月 57.1%
- 商用検討型(Commercial):8.15% → 18.57%
- 取引型(Transactional):1.98% → 13.94%
- 指名・案内型(Navigational):0.84% → 10.33%
つまり、購買に近い検索にもAIの要約が入り込むようになったということです。指名検索が10%を超えた事実は特に重要で、自社名で検索されたときにAIが何を語るかが、ブランド管理の課題になりつつあります。
どんなキーワードが対象になりやすいか
検索数は少なめ、難易度は中程度
AI Overviewsが表示されるキーワードのうち、約60%が月間検索数100回以下でした。また、約60%がキーワード難易度21〜60の範囲に収まっています。
これは裏を返すと、大手が独占する超競合キーワードではなく、特定領域を深く扱った中堅サイトにも引用の機会があるということです。ニッチな問いに正確に答えているページは、十分に候補になります。
長い質問形式が強い
5語以上、とりわけ文の形をした質問で表示率が高くなります。AIは1つの問いを分解し、3〜5個の異なる情報源から材料を集めて回答を組み立てるためです。単一キーワードを狙うより、関連する問いに一通り答えられている構成が有利になります。
検索結果ページの見え方が変わった
AI Overviewsは単独では現れません。Semrushのデータでは、関連検索が95.32%、他の人はこちらも質問(People Also Ask)が90.03%の確率で同時に表示されていました。
さらに見逃せないのが広告の増加です。2025年3月時点ではAI Overviews付きの検索結果に広告が出ることはほとんどありませんでした(1%未満)。それがページ下部の広告が25%の検索結果で表示される水準まで増えています。自然検索の枠が上下から圧迫されている、という理解が必要です。
ゼロクリックは「増えていない」
直感に反する結果ですが、AI Overviewsが表示される検索のゼロクリック率は上昇していません。2025年を通して33.75%から31.53%へわずかに低下しています。
AIの要約があるとクリックがすべて消える、という単純な話ではない、ということです。要約を読んで納得する人がいる一方で、要約をきっかけに出典へ進む人もいます。だからこそ、引用されるかどうかが分かれ目になります。
業界によって影響はまったく違う
表示率の差は非常に大きく、戦略の優先度を決める材料になります。
| 区分 | 例と水準 |
|---|---|
| 影響が大きい(17%超) | 科学 25.96%、コンピュータ・電子機器 17.92% |
| 伸びが最も速い | 食品・飲料(約11%、全体平均並みまで上昇) |
| 遅れている | 不動産、ショッピング |
| 影響が小さい(3%未満) | ニュース性・時事性の高い領域 |
医療や法律といった機微な分野では、年後半にGoogleが意図的に表示を絞り込んだ動きも観測されています。情報の正確性が問われる領域ほど、Googleは慎重です。
なお、上位ドメインが保有する「AI Overviewsを発動するキーワード」の平均数は、2025年の第1四半期から第4四半期にかけて155%増加しました。露出の総量そのものは確実に増えています。
2026年に優先すべきこと
調査結果を踏まえると、打ち手は次の順序になります。
- 自社業界の表示率をまず測る。影響が小さい業界なら、拡大前の今が構造化データと技術面を整える好機です。
- 指名検索でAIが何を語るかを確認する。社名・製品名での回答は、そのままブランドの第一印象になります。
- 購買に近い問いにも備える。比較・価格・選び方といった検討段階の問いに、事実ベースで答えるページを用意します。
- 順位だけでなく引用を測る。TOSのAI Visibility Checkでは、6つのGEO評価軸でサイトを採点し、同業他社3社と比較できます。
AI Overviews調査に関するよくあるご質問
この数字はベトナム市場にも当てはまりますか?
そのままは当てはまりません。調査は主に英語圏の検索が対象です。ただし、情報収集型から購買検討型へ広がるという方向性は、言語を問わず観測されています。自社のキーワードで実測することをおすすめします。
AI Overviewsが表示されると必ず流入は減りますか?
減るとは限りません。ゼロクリック率はむしろわずかに低下しています。減るのは「引用されなかった場合」です。表示の有無より、自社が情報源として選ばれているかを見てください。
AI Overviewsの表示を拒否できますか?
技術的にはスニペット表示を制限すれば露出を減らせますが、通常の検索結果での見え方にも影響します。露出機会を自ら手放すことになるため、推奨しません。
表示率が16%程度なら、対応は後回しでよいですか?
おすすめしません。全体では16%でも、業界によっては25%を超えます。また購買に近い検索へ広がっている最中です。自社の主要キーワードで実際に何%表示されるかを先に確認してください。
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